一昨年の夏に上海で出会って以来、原田燎太郎さんの講演を聞くのはこれで5度目。彼は中国のハンセン病回復者村で10年以上にわたり支援活動を続けている。
少年期にイジメを受けたことから、自分に自信がなく、常に人目を気にして生きてきた彼は、村人との触れ合いの中から、大きな気づきを得て生きる勇気に変えていった。その情熱は誰も歩まなかった道を切り拓かせ、やがて周りの人々を動かしていくことに。
今ではNGO「家-JIA-」を立ち上げ、年間で2000人ものボランティアを動員する運営団体のリーダーとなり、年に数回日本へ帰国しては講演活動を行っている。
彼の話の中で好きなシーンがある。
大学の同級生たちがみんな大手企業で働いている中、自分は中国の名も無き山村で毎日自転車こいで、この活動を広めようと奔走している。「ああ、俺は何をやってるんだろう」とポツリとため息をつき、そしてまた走り出す。
私は彼が自転車をこいでいる姿を思い浮かべずにはいられない。
自分のやっていることは信じているけど、雲をつかむような途方もない道のりをただ前に進んでいく心境。
誰からの指示でもなく、誰も手本を見せてくれず、答えがわからない中で、それでも彼を衝き動かすものがある。
そんな彼の自転車のひとこぎが、私は好きで仕方がない。
8ヵ月ぶりの再会で、彼はちょっと痩せたように見えた。
「痩せたね?」そう声をかけると、
「ええ、いろいろとありまして」と彼はただ笑った。
そうか、彼は今も自転車をこぎ続けているのだ。
応援者募集してます。
「家-JIA-」
http://jiaworkcamp.org/jp/Default.aspx