1冊の本に使う用紙は、何種類あると思いますか?
いま進めている「一枚の自分史」という本では、
1、表紙
2、カバー
3、帯
4、大扉
5、本文
6、スリップ
7、見返し
ざっと7種類です。
印刷用紙には、色、厚み、手触りなどにより数え切れないほどの種類が用意されていて、その無数の組み合わせの中からひとつだけを選んでいきます。
高価な用紙を選ぶと、ウン十万円もコストが変わってきます。しかし、コストパフォーマンスを優先すると、チープな本に仕上がります。これは手に持った瞬間、誰もが無意識に(我々ははっきりと)わかります。
本を「文字を載せる道具」だとするならば、書籍用紙はこんなにもバリエーションはいりません。もっといえば、もはやデジタルで十分なのです。
用紙を決めるのは私にとって大切な仕事です。
一日中考えて、日が暮れて、次の日もまた悩んで、1週間放置して、また悩んで、そのくらい苦しんで決めるだけの価値ある仕事だと思っています。
今回の「一枚の自分史」の用紙決定も、やはり苦しみました。温かみがあり、郷愁感があり、そして読んでいて手になじむ本の柔らかさ。
果たして悩んだ結果がどうなるか。本が出来上がるまでドキドキワクワクしながら待ちます。この仕事を25年間やっていて、それは今もまったく変わらないわけです。